山間部では小雪がちらつき、寒風の吹く寒い土曜日から一転晴れの穏やかな日曜になりました
明日からさらに気温は上がるようです…
先月調査をしたモニタリング河川の話になりますが…
イトウの安定個体群が維持されている猿払ですが全く問題が無いわけではありません
2010年秋~冬、民有林での森林施業で産卵河川が大きなダメージを受けました
(以前にもブログで紹介しましたが月日を忘れましたスイマセン)
5年が経過し回復の兆しが見えはじめました
低い山並みが連なり小さな川が多い区間、中流部から湿原状の河川形態が特徴の産卵河川
この様な小さな川は森林施業で大きなダメージを受ける事例が多く、土地所有者、施業者は多くの生物が生息する自然度の高い河川であるとか、イトウの産卵河川であるという認識は皆無です
以下写真は施業直後と現在の組み写真になっています
谷幅を自由に蛇行していたほぼ手つかずの河川はご覧のように植生も消失、蛇行していた河川は写真手前に直線化され寄せられています、縦に伸びる溝は植林前に林地を乾燥化させるための排水溝です
現在、松類の木を植林してあります、(これで施業は終了)…植生は復活しつつありますが河畔林が形成されるまで数十年の月日が必要でしょう…
真直ぐに切り替えられた新たな流路、施業後ひと冬経っていますがすでに河床低下が起き河岸も崩落しています、河床の礫は存在しません
少しずつですが掘られた溝の範囲内で蛇行が生じ礫も堆積しています、草が繁茂し始めハンノキでしょうか?育っています、切り立った河岸も崩落後安定し人工的な感じが薄れつつあります
激しい泥の流入で河床の礫環境も消失、河岸崩落や施業地からの泥の流入が確認され産卵区間のほとんどで礫堆積区間が無い状態でした
同じ位置の写真(足はありませんが笑)泥の流入はほぼ治まり礫が堆積し始めています
宗谷の河川は地質的な特性?もあるのでしょか、小さな川、平地、低山間部の河川でも河岸や河床等に礫供給減が多く、流路の直線化や泥の流入等の環境変化の際にも経年で環境が回復し、産卵環境が完全に消失する事が少ないような気がします
50~70cmほど河床が低下しています写真左の粘土状の岩盤が完全に露出すると礫環境が無くなり産卵できなくなりますが、先ほどの礫供給の多さ、中下流の湿原状河川=河床勾配が極端に緩い、合流する本流は河川改修などの直線化が無くさらに河床低下を招く要因がなかった事が幸いしていると思われます…
この河川がもし…狩別川中流部のような直線化された区間に合流していたら上写真右の礫堆積が無く粘土がむき出しになった溝の様な河床になっていたでしょう…実際に狩別中流に合流する支流では礫堆積が極端に少なく泥と粘土状の溝河床が永遠と続く河川が存在します、その河川では散発的に堆積した礫床で細々とイトウが再生産を繰り返しています
写真左が本来の蛇行した川筋河畔林もあり大きく蛇行しています、
右奥からの流れは人口の流路、河畔林は無く笹等の植生も消失、激しい泥の堆積がわかると思います
現在…切り立った河岸は崩れた後、安定し、川幅も若干広くなり川原が出現、植生も回復し礫堆積が認められます、以前の流れはトミヨ類の生息やイトウ稚魚の越冬環境として有用です
施業翌年の産卵床は0…その翌年3床、産卵床内部では泥や砂の影響で死卵が多く稚魚も散発的にみられる程度でしたが今年は環境の回復もあって多くの稚魚を確認できました
けっして良い環境とは言えませんがイトウは懸命に命をつないでいます、今後は河川環境の回復…淵瀬蛇行の形成回復や河畔林再生も視野に入れて地権者に働きかけていきたいと思います
BBK